不覚にもアイツにときめいた
「何食うかな~」

昼飯を考えていたその時、

エレベーターを待っている田中の後姿が見えた。

(あいつ、姿勢綺麗だよな…。)


そして、俺は後ろから声を掛けた。


「おつかれ。」


その時

「わ!」

田中が聞いた事ないくらい大声を出していた。



「はは!田中もそんな声出すんだ。」


「びっくりさせないで下さい。」


だけど田中はまた通常運転に戻った。


「冷てーな。同じ同期じゃん。」


「あなたがいると迷惑です。」

(うわ、相変わらずキツイ…。)

だけどここまで嫌われると余計構いたくなるし、落としたくなる。

男はハンターだ。

逃げられると追いかけたくなるし

狙った獲物はどこまでもとことん自分の手で落としたくなる。

そうゆう生き物だ。


そこで俺は一芝居打ってみる事にした。


その時田中は若干焦っていた。


だけど


「お疲れ様でーす。」


甲高い声が俺達の間に入ってきた。


出た…。三堂由奈


この子は俺達の部署では愛され系女子として有名だ。

他の部署でも、人気だ。



「由奈ちゃん!お疲れ様~」



俺は咄嗟に作り、笑顔を見せた。


「お疲れ様です。」


「お二人でお食事ですか~??ズルーイ」


俺、苦手なんだよなこの声…。


「え?🖤う…」


「いえ、違います。」

俺が答えようとした瞬間、田中に先越され見事にスパッと切られた。

(…分かってたけど。そこまで全否定しなくても…。)


「……。」


さすがにちょっと心折れそうになるわ…。


そして、俺は仕方なく話題を変えた。


「由奈ちゃん今日も可愛いねー!」


(早く来い!エレベーター!)





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