不覚にもアイツにときめいた
「近藤さん…。」

田中は若干顔が照れていた。


「田中さん、しおり作ってくれてありがとう!
おかげで助かったよ!」


(とりあえず何とかなったか…?)


「皆さん…。」

「い、いえ…。これぐらい当然ですので…。」


(お、ちょっと嬉しそう…?)


「全く素直じゃないなー。」

俺はからかうように田中に言った。


とりあえず、皆の田中の見方が変わったみたいだ。

…三堂は相変わらずだけど。

「よし!キャンプ場向かうよー!」


近藤さんに言われ俺達はキャンプ場まで向かった。

「は、はい…。」


田中は再びリュックを背負い、トボトボ歩いていた。


(…一人であれ持って来たんだよな?)


「てか、そのバッグ重いでしょ。俺持つわ。」


俺は気を引くためにわざと田中に声を掛けた。

田中のリュックを持った瞬間ズシッと重みを感じた。


「何入ってんのこれww」



「あ、氷とか色々…。」


「何でww」


「蜂とか刺された時に…。」


田中の予想外の言葉に笑ってしまった。

(キャンプ場すげー山奥とか思ってんのか?)


「蜂!?田中さん案外心配性だね…。」


「そんな事は…。」


俺達の会話に気づけば色んな人が入ってきた。


だけど、田中は楽しそうだ。

(…あ、笑ってる。)

そんな田中の笑顔を不覚にも少し可愛いと思った。

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