不覚にもアイツにときめいた
そして、土曜日

いよいよグランピング当日になった。

俺は荷物を持ち、そのまま○公園に向かった。

(グランピングだし別にそんな荷物もいらねーよな。)

そして、○公園に着いた時、何人かが既に集まっていた。

「あ、遠藤君!こっちこっちー!」

「すんません、お待たせしました。梨花さん今日もかわいいっすね~!」

(…おいおい、一応グランピングだぞ…。
ヒールって…。完全に肉焼く気ねーな。)

なんて思ってても口には出せない。

先輩という以前に梨花さんは部長のお気に入りでもある。

いわば、敵に回してはいけない人No.1だ。

俺は咄嗟に嘘の笑顔をつくり、思ってもない言葉を簡単に口に出す。

…人間は本当、咄嗟に嘘をつけるから凄い。

「やーん🖤ありがとう!」

(女は疲れる…。)

辺りを見回せば皆女子軍はスカートだの、ヒールをはいていて合コンでも来ているのかってゆうぐらい男どもに必死だ。

(…田中はまだか。)

その時、


『ねえ、何あの荷物…。田中さん家出でもするの?』


梨花さんの声が聞こえた。

(…田中?)


『それにあの格好何…?中学生の林間学校?赤ジャージってw定番じゃん』


『ちょwやめてよ梨花ww林間学校ってw言えてるww』


梨花さんの向いている方向に視線を向けると、

(…ぶっ。)

田中は、大きいリュックを背負っていた。

(…なんだ、あの荷物。てか、あれ中学生ジャージじゃ…。)

思わず俺は笑ってしまった。

(…やっぱあいつ、おもしろいな。男には媚びないのは分かってたけど…。)

だけど、田中は皆に笑われていて悲しそうな顔をしていた。








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