始まりは途中から。
べチャ、べチャ。
水にしては少し鈍い音がする。
すると少年はあるところで止まった。
刀の先を“人間だった”人影へ向け、嘲笑うかのような笑みを浮かべると。
「こんなことしなければよかったのにね?来世に御期待ください」
弧を描いていた口元はふっと途切れ、無表情になる少年。
僅かな月光で銀色に光る行き場の無くした刀は仕舞われ。
それはところどころ液体のようなものがついていた。
少年がぐっと伸びをする。
それと同時に緑の目をした黒猫が暗闇からふらっと現れ、少年の足に頬を擦り付けた。
その猫を見た途端、少年は少し目尻を下げ、猫を抱き抱え笑う。
「ふふ、癒してくれるの?翠。可愛いなぁ……もう。
よし、帰ろっか!」
大層ご機嫌な声色を発した少年に、応えるように猫はにゃおん、と静かな暗闇の路地裏で鳴いた。
▽◆◇◇◇◇