私の好きな警察官(ひと)!
「じゃ、行ってきます」
唇を尖らせて、不貞腐れてます感を全面アピール。
引き止めてくれてもいいんですよ?
抱きしめてくれてもいいんですよ?
仕事なんか行くな!って。
俺のところにいろよ……って、そんなことあるわけないのは自分が1番わかりきってる事なのでそっとしておいて下さい。
「気をつけて行けよ」
蓮見さんに背を向けて歩き出した私は、
聞こえてきた蓮見さんの声にピタリと足を止めた。
「……!ちょ、蓮見さん!今、私のこと心配してくれました!?もっかい言ってもらっていいですか??あの、"気をつけて"の前に"香恵"って呼んでもらっても」
「……ったく、調子のんな。遅刻しても知らねぇぞ」
「あ〜〜〜!!もう20分だ!!やばっ」
やっぱり私は蓮見さんが大好きで、
彼の言葉に一喜一憂しては余裕を失くしてしまう。
これは間違いなく恋で、
自分でも知らない自分を、蓮見さんに出逢ってから知ることになった。これぞ恋する乙女。
今までの恋とはどこか違う、私の中の本気の恋。
どうしたら蓮見さんは私を"愛しい"と思ってくれるんだろう。"他の男になんか渡したくない"って思ってくれるんだろう。
むむむ……赤羽 香恵。23歳。
男心について少しばかり勉強が必要かもしれません。