私の好きな警察官(ひと)!
真っ暗な部屋の中。
自分の心臓の音だけがやけに響いて聞こえる。
「……あ、あの!蓮見さん……!!」
「男の寝てる部屋にノコノコ1人でやって来て、押し倒されてから慌ててんじゃねぇよ。……ざまぁねぇな」
───ドクンッ
蓮見さんの瞳が、暗がりの中でやけに光って見える。
まるで、狼みたいだと思った。
私の目を真っ直ぐに見つめて離さない。
掴まれたままの手首から確かに蓮見さんの体温を感じで、体が熱を持つのが分かる。もしかして、これはかなりいい雰囲気?
蓮見さんも、普段は女に興味ありません!みたいなクールビューティだけど、そりゃもちろん男なわけで……
もしかしたら、もしかしたらこのまま!!
「蓮見さん!あの……このまま、私のこと頂いちゃってもいいんですよ?♡」
蓮見さんとのラブハプニング、来ちゃうんじゃないの!?蓮見さんも実は、その気だったりしちゃうんじゃないのぉお??
「ったく、頂かねぇよ」
なんて。
やっぱり、私の考えはいつだって甘くて。
そんな自分を恥ずかしく思うのはいつも、冷静な蓮見さんの冷たい声を聞いてから、だ。
「なっ、何でですかぁ!……あ、」
掴まれたままだった手首から蓮見さんの手が解けて、空気に触れた。熱を持っていたその部分は、やけに寂しく疼いていく。
「はぁ……なんでもクソもあるか。俺は仕事中で、ましてや仮眠中だったんだよ。好きでもねぇ女抱いて体力消費してる場合じゃねーの」
「……好きでもねぇ女……って」
「お前だよね」
「あ、やっぱり」
撃沈だ。
蓮見さんは、やっぱり私を微塵も好きじゃない。