私の好きな警察官(ひと)!
けれど、悟られないようにニコッと笑顔を作って交番の出口へと向かった私は、
「おい」
後から聞こえた、やや不機嫌な声にドクンッと心臓が嫌な音を立てるのを感じた。
「……はい?」
振り向くとそこには、やっぱりちょっとだけ不機嫌な顔をした蓮見さんがいて、何に対して怒っているのかと脳内で必死に答えを探す。
だけど、蓮見さんを怒らせるポイントなんて山ほど思いついてしまう私は、結局 正解なんてみつけられなかったのだけれど。
「何時だと思ってんだよ」
「……?えっと、22時半です」
「こんな遅くに女1人でウロウロすんな」
───ドキッ
今、ちょっとだけ自分が女の子だってことを思い出した。蓮見さんが私を女の子だって認識してくれてることが嬉しくて、それだけで無敵になった気がした。
「へへ……蓮見さんの言葉でたった今無敵になったので平気です!それに本当に5分も歩けばアパートに着くし!私のことより、蓮見さんはどうぞ寝ててください」
起こしといてなんですけど。
私なら本当に本当に平気だ。生まれてから1度も痴漢やストーカー、その他諸々のターゲットになったこもはない。
自慢することとしては、また少しズレてるような気もするけれど、23年間1度も有り得なかったことが今夜に限って有り得る……なんて、能天気極まりない私には到底思えない。
「……だな、お前はどちらかと言えば加害者だ。心配する必要はゼロだな」
「そ、それはまた違うと思うんですけど!」
ニッと口角を上げてやっぱり意地悪く私を見る蓮見さんに、こんな時にもときめいている私は、重度の蓮見ホリック。