私の好きな警察官(ひと)!
「無理無理無理無理!!!」


「なんでよ!面識あるんでしょ?」


「……いや、ほら!お仕事中みたいだし、ね?」



こうなると麗奈はしぶとい。
最終的には絶対に筋の通ってない言葉で私を丸め込んで、悪魔のようにほくそ笑むのが麗奈だと知っている。


だけど、私だってこればっかりは譲れない。


蓮見さんの前でのキャラがキャラなだけに、みんなの前で蓮見さんとどう接していいのか分からないし。



「あ、」


「え?」



生田の声に生田の視線の先を目で追えば、ちょうど道案内を終えたらしい蓮見さんと目が合って『終わった』と思った。



「……あーあ、見つかっちゃったね?香恵♡」


「へぇ、赤羽って面食い?めっちゃカッチョイイじゃん」


嬉しそうな麗奈となぜか興奮気味の藤沢。
それはそれで辛いけど、どうかそのまま交番の中に戻って欲しいと願う私。



そんな私の願いは、



「なんだ、今日は遠足か?」


「っ……!」



珍しくニッと笑って私を見つめる、蓮見さんの言葉によって儚くも散った。嬉しいのに……すんごい嬉しいのに、なんで?


どうしてこうも、素直に喜ばせてくれないのよ。



「お巡りさ〜ん!こんばんは!いつも香恵がお世話になってるみたいで」


私よりも先に蓮見さんに駆け寄る麗奈に、思いっきりフリーズする。いや、ちょっと待ってよ!!私の蓮見さんだからね?!



動けないままの私を残して、私以外のみんなは蓮見さん目掛けて駆け出していく。


こんなはずじゃなかったのに、って思ってる自分と。こんな時なのにやっぱり会えたことに喜びを感じている自分と。

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