私の好きな警察官(ひと)!

「じゃあ俺も、誰でもいいのやめる」


「は?」


「だから、やっぱ今日 赤羽んち泊めて?」


「はぁ?」



ニッと歯を出して笑う生田に、もう返す言葉が見当たらない。それってつまりどういう意味?


いやいや、あんなチャラ男だった生田が……そう簡単に女遊びをやめられるわけないのは分かってるけど、それでもさっきの生田の言葉を脳内で再生しては、少しだけ胸がザワザワする。



「何?いつから2人ってそんな仲!?」


「俺らの知らないところでキスまでしてたとはね〜。こりゃ今日は俺らお邪魔だったかな?」



驚く麗奈とニヤつくミヤに慌てて否定する私。


「違う違う違うから!!あれは不慮の事故みたいなもんで、全然そんなんじゃないから!」


いや、確かにちょっと深いやつだったけど。
ビックリして隙だらけだった私が悪いけど。



でも、あのキスにお互い気持ちなんて一切なかった!てか、今もない!あれは犬に噛まれたの。そう、犬!生田は犬!



「いい加減、帰れ。こんな所に溜まられてたら仕事の邪魔だ」



私の頭を軽く小突いて、いつになく不機嫌そうに呟いた蓮見さんに背筋が凍る。あー、もう……絶対に軽い女だって思われた。しかもこの感じ、私にいよいよ愛想尽かしたかもしれない。



全部全部、チャラ生田のせいだ。
生田なんか、泡になって消えちまえ。


「……あの、蓮見さん!違いますから!」


「あ?」


「明日の朝、また来てもいいですか?もちろん1人で来ます!」



このまま……誤解されたままなんて絶対嫌だから、どうか私に弁解のチャンスをください。私は本当に本当に心の底から蓮見さんだけなんだって、嫌ってほど伝えさせてください!
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