私の好きな警察官(ひと)!

"アイツ"と言うのは、かれこれ3ヶ月ほど前に謎の言葉を発しながら交番に駆け込んで来た女。


───赤羽 香恵。



ロドリゲスがどーたら言いながら交番に駆け込んで来たかと思えば、俺をタイプだとか彼女はいるか……とかすげぇ勢いで迫って来て、


あの時は完全に酔っ払い、または薬でもやってるヤバい奴だと確信したのを今でもはっきり覚えてる。


結局、ただ財布落としただけでアルコール探知機の反応もなし。薬の証拠になるものも一切無し、質疑応答も意外としっかりしてると来たもんだ。


酒も薬もやってねぇのにこのヤバさ。
まさに、言い表すなら新しい人類との出会いだった。


しかも、恐ろしいことにそんなヤバい奴がそれからと言うもの毎日俺を訪ねて交番へやって来ているのが現状で。


……つまり俺は、交番に務める列記とした警察官でありながら、年下の、しかも極めてヤバい女、赤羽 香恵に軽く……いや激しくストーカー被害に遭っているってわけだ。


しかも今じゃそのストーカーぶりをこの交番の所長である橋本のおっさんに気に入られて、俺がいる時はもちろん、俺が非番や休みで出勤してない時でさえ、


『昨日、香恵ちゃんが差し入れ持って顔出しに来てくれたんだよ』


なんて、次の日出勤した俺におっさんは嬉しそうに奴の襲来を報告してくるくらい……この交番は赤羽 香恵の侵入を簡単に許そうとしてやがるわけだ。


もちろん高橋や、浪岡さんも同じで、


『香恵ちゃん、いい子じゃん?』


『男の客はいらねーが、女の客は大好物だ』



この交番の野郎共は俺を除いてみんな……なぜか赤羽 香恵を受け入れる姿勢しか見当たらねぇ。
< 38 / 88 >

この作品をシェア

pagetop