私の好きな警察官(ひと)!
翌朝、自分の部屋の自分のベッドの上で、着替えもせず、もちろん化粧も落とさないドロドロの状態で目を覚ました私は、



昨日の帰り道のことを何一つ思い出せなかったけれど、


それでもこうして無事に自宅へと戻って自分のベッドで寝ていた自分を褒めたたえた。



いや〜!よくやった!おめでとう香恵!
あんたはやれば出来る子だと思ってたよ香恵!


酒は飲んでも飲まれるな。

今後は記憶がなくなるほど飲むのは止めよ。
今日を無事に迎えられたことに感謝して、気を引き締めなきゃ!



なーんて、寝起きのぼんやりした頭で考えながら

どこまでも脳天気な私は……まだ気づいていなかった。





そう、昨日の帰り道。
私が失くしたものは、


記憶。



と、もう1つあったのだ。



どこでどう失くしたのか全く分からないけれど、バックに入っていないのだから、仕方ない。


昨日の帰り道に失くした疑いが濃厚過ぎて、顔面蒼白とはこの事を言うのか……と23歳にして改めて顔面蒼白の意味を知ることになった。


そう、もう1つの失くし物は……冬のボーナスで奮発して買ったお気に入り、


ブランド名『Rodríguez - ロドリゲス -』の長財布だ。



「ロドリゲェエエェス!!!カムバーーック!!!」


私の叫び声は、きっとアパート中に響いたことだろう。
(中身は英世が3人くらいしか入ってなかったはずだけど)

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