私の好きな警察官(ひと)!
「でも、昨日は男も一緒だったんでしょ?」
「……男、って言っても会社の同期で」
「赤羽ちゃん、男は男だよ。同期だとか、警察官だとか理由にならないからね?相手に少しでも"その気"があったら気をつけないと。赤羽ちゃんに"その気"がない相手なら余計」
───油断厳禁だよ!
まるで警告するみたいに、高橋さんはメガネを人差し指でクイッと持ち上げて、朝イチのパトロールに出てくると蓮見さんに軽く告げ交番を出ていってしまった。
男は男。
か。
そんなこと言われても、生田は生田なんだもん。
昨日のタコパで、生田は当たり前みたいな顔で私の隣に座って、酒にかこつけて軽く腰を抱かれたりなんかしたけれど、
そんなの、別に序の口だ。
会社勤めが長くなればなるほど、飲み会の機会も増えて、同様にややセクハラ気味のオッサン上司たちの扱いにも慣れてきた今日この頃。
言ってしまえば、そんなオッサン上司たちに気を遣いながら嫌な印象を与えずにその場をやり過ごすよりも、生田相手に『やめてよ』『それ以上触ったら金とるから』なんて言いながら適当にあしらってる方が楽だとさえ思えた。
そもそも、生田は『やっぱり、赤羽のこと好きかも』とか『俺と試してみる?』とか『俺にしとけば?』なんて、酒の勢いでいつもよりチャラ加減に火がついていたものの、
その言葉たちがどこまで本気なのかなんて、私には分からないし。生田のことだから、本気なわけがないって気にもしていないのが現状で。
「で?」
「へ……?」
生田について朝から無駄に考えてしまっていた私に、急に蓮見さんが話しかけてくるもんだから、とんでもなく間抜けな声を出して顔をあげた。