私の好きな警察官(ひと)!
「でも、花火キレイじゃないですか!それに屋台もズラッと並んでて、美味しいものも食べ放題!」
「色気より食い気、だな」
「ぐっ……」
それを言われりゃ痛いところだ。
23歳。色気とは無縁の今日この頃。
少しでも、蓮見さんにドキドキして欲しくてコンビニで大人向けの雑誌を買おうか真剣に悩んで、麗奈に引かれた事があるなんて。
口が裂けたって蓮見さんには言えない。
「で、その花火大会がなんだよ」
パタン、と日誌を閉じた蓮見さんは椅子から立ち上がると伸びをする。その仕草がまた、なんとも私の胸を高鳴らせる。
ただ伸びをしてるだけなのに、やけに色っぽい。
たった3つ、されど3つ。
これは年の差なのか、経験値の差なのか……。
はたまた生まれ持った何かもっと違うものなのか。
「あ、その……蓮見さんさえ良かったら一緒に行きませんか?」
言った!!!!
言えた!!!!
───『花火大会、俺と行こ』
昨日、酒に吞まれる前に生田に言われた言葉を思い出しながら、ドキドキと蓮見さんからの返事を待っている私。
「俺は──」
蓮見さんの言葉に、耳を澄ませた瞬間
ガラッと勢いよく開いた交番の入口から大口を開けて欠伸をする浪岡さんが見えて思わず肩の力が抜けてしまった。
「あ?なんだ、来てたのか。朝から邪魔したなぁ、蓮見」
私に気づいた浪岡さんがニヤッと嫌味に弧を描いて蓮見さんを見るから、その瞬間、蓮見さんがうんざりしたのが私でも分かった。
「邪魔なんで早く着替えて来てください」
全然心のこもってない声で浪岡さんを突き放した蓮見さんに、浪岡さんは楽しそうに笑いながら更衣室へと消えて行く。