私の好きな警察官(ひと)!
「蓮見さんが、浪岡さんを邪魔に思うくらい私との時間を大事にしてくれてたなんて嬉しいです」


「あれはポリスメンジョークだ、察しろ」



……ちょ、待ってください。
なんですかポリスメンジョークって!


そんな真顔でサラッと何言ってんですか!!
ダメだ、笑いを堪えると肩が……震える……。


「……っ、それで、花火大会は」


「考えてみろ、俺は交番勤務の警察官だぞ」


「……はい?」



蓮見さんの言葉を聞きながら、キョトンとその呆れた顔を見つめ返せば、またまた深い溜息と共に



「もちろん俺はその日、仕事だって言ってんだよ。他でもない花火大会の警備で、な」


「…………あぁ、そっか。蓮見さん、お仕事か」



私の中でガタガタと音を立てて崩れていく、浴衣姿の私と蓮見さん。二人で並んで焼きそばとか食べながら、打ち上がる花火をよそ目に、蓮見さんの横顔を覗き込んでニヤニヤする……


そんな妄想を繰り広げていた私にはあまりにも衝撃的すぎて、言葉に詰まる。


「警察官は暇じゃねーんだよ」


「……です、よねぇ」



警察官が大変な仕事だってことくらい、頭の中では分かっているつもりだったのに。……そうか、そうだよなぁ。


分かっている"つもり"になっていただけで、私はやっぱり蓮見さんについても、警察官と言う仕事についても……全然分かっていなかった。



そして、

再び思い出す、生田とのやり取り。


『もし蓮見さんに断られたら生田と花火大会、行ってあげてもいいよ』


『ふぅ〜ん、言ったな?忘れんなよ、その言葉』


『女に二言はありません』



あぁ、あの時の私ってば、なんて事言ってくれてんの。

つまり……蓮見さんに断られたら今、花火大会with生田が決定したってわけだ。
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