私の好きな警察官(ひと)!
「……あんまジロジロ見んな」
「あ、わ……ごめんなさい!あの、私服も死ぬほどかっこいいです!ご馳走様です!」
少し恥ずかしそうにそっぽ向く蓮見さんが可愛くて、ニヤニヤが止まらない私に、蓮見さんはワックスで程よくセットされた髪の毛をくしゃくしゃと触りながら溜息をついた。
私との映画のために、私服選んでくれたのかな。
私との映画のために、髪の毛セットしてくれたのかな。
そう思うと、どうしようもなく嬉しくて。
また怒られそうだなって思いながらも緩む頬を隠せないまま蓮見さんを見上げていた私は、
「そういう格好もすんだな」
蓮見さんの言葉に自分の服へと視線を移した。
「……へ、変でしょうか」
「んーや、別に」
……別に、って。
もっと嘘でも『似合ってる』とか『可愛い』とか……って、そうだった。相手は蓮見さん、そんなこと言ってくれるわけない。もし仮に思ってくれてたとしても絶対口にしなそうだし。
「なら、良かったです」
似合ってないと思ったらハッキリ言いそうな蓮見さんが、『別に』で濁すってことは、遠回しに少しは褒めてくれたって勝手に解釈してもいいですよね?
こんな時ばっかりメガポジティブを発動させて蓮見さんに微笑めば、少し驚いた顔した蓮見さんが「行くか」なんて左手を差し出すから、その手は……どう言う意味ですか?と、言えずに固まる私。
そんな私にまた呆れたように溜息を吐いた蓮見さんは
「迷子になられたら困んだよ」
───っ!
ぶっきらぼうな言葉だけ残して、私の右手を握って歩き出した。