私の好きな警察官(ひと)!
うあ、すごい人。
そりゃ、休日だし当たり前って言われたら当たり前だけど、いつも弟と映画を観に来るときより、ずーっと混んでる気がする。
人が多いって理由でなんだろうけど、相変わらず蓮見さんと繋がれたままの右手。私の熱を蓮見さんのひんやり冷たい手が心地よく包む。
あー、ほんと。
勘違いしそうになる。
「何見るか決めてんのか?」
「あ、はい。一応、あれからリサーチ入れたんですけど、今シーズンの映画はアクションよりホラーものの方が人気らしいです!」
チケット売り場に並びながら少し蓮見さんを見上げながら話す私ちを、きっと周りは疑うことなく恋人同士だと思うんだろうな。そう思うと、やっぱり私の単純な頬は緩み始めて
「じゃあ、ホラーだな」
そんな蓮見さんの言葉に青ざめる。
「い、いえ!あの多分 ホラーは猛烈に人気らしいので席が空いてる可能性は極めて低いんです!それに比べてアクションは、少しはこの人混みから脱してのんびり観賞できるかと!」
ね、だからアクションにしましょうよ。そんな眼差しを蓮見さんへ向ければ、逆にジトッと嫌な眼差しで私を射抜く蓮見さんに背筋までピンッと伸ばす。
「怖ーんだろ、お前」
「ち、違いますよ!蓮見さんの為を思って……!」
「……ふぅん、あいにくホラーはすげぇ好きだし、人混みも職柄慣れてる。俺のことなら心配無用だ」
グッ、
そう来たか。
確かに……私みたいなしがないOLなんかより、警察官として色んな場所を駆け回る蓮見さんは人混みに免疫がありそうだ。