私の好きな警察官(ひと)!
とは言え、私はホラーが大の苦手なのだ。
夜道はおろか、トイレもお風呂も……当分1人で行くのが難しいくらいに引きずる。
カーテンのちょっとした隙間が気になるし、外から聞こえた物音に飛び上がるし、極めつけにはベッドに入って頭まで布団を被り全面防御しないと眠れない。
……そして、ふと考える。
布団の中にオバケがいたらどうしようって。
ああ、THE END.
「よ……夜、1人でお風呂に入れなくなっても知らないですから」
「それはお前だろ」
私の弱点を見つけたとばかりに口角を上げて楽しそうに笑う蓮見さんに、いつもなら間違いなくときめいていることだろう。
今の私にはホラーを観るという恐怖心がまさり、ときめいている余裕もないんだけれど。
「アクションにして欲しかったら、今のうちだぞ?意地張ってねーで、怖くて観れねぇって言えよ」
「……こ、怖いわけじゃ」
だけど、蓮見さんホラーが好きなんでしょ。
どうせなら好きなもの観て、今日のデート楽しかったなって思って欲しい。
「……泣いても知らねぇからな」
「へ、平気ですってば!あ、順番来ましたよ」
そうだ。
映画館、隣には愛しい蓮見さん。
怖いシーンはずっと、蓮見さんの横顔を見つめていよう。そしたら、オバケなんかへっちゃらだ。
この世に私と蓮見さんしかいない!ってくらい、蓮見さんの横顔に集中して、隙あらばキスとか……オネダリ出来たら、
完璧なんだけど、なぁ。
とにかく大丈夫。蓮見さんとの初デート!絶対成功して、次は蓮見さんから誘ってくれるくらいメロメロにさせてやるんだから。