私の好きな警察官(ひと)!
「助かった。あとは自分たちで大丈夫だ」
慌てる私をよそに、私を抱き抱える腕に力を込めた蓮見さんは、メンテナンス会社の2人にそれだけ告げるとエレベーターを降りて歩き出す。
「あの、蓮見さん!降ろして下さい!ひ、1人で歩けますっ!」
体重バレる!体重バレる!!
お姫様抱っこされてる今、思いのほか近い蓮見さんとの距離にさっきのキスを思い出して赤面する。
今、バタバタと暴れたら余計、重さが増すだろう。
だけど、このまま抱っこされている訳にもいかない。
「あ、あの!蓮見さんっ」
「……そんな警戒すんな、もうしねぇから」
「っ、」
フワッと優しくバツが悪そうに少しだけ笑って、蓮見さんが私を見るから、蓮見さんってば勘違いしてるんだってすぐに分かった。
エレベーターの中で蓮見さんの手を取れなかったのは、キスが嫌だったからじゃない。
「私、嬉しかったのに」
「……あ?」
「蓮見さんとのキス、思い出すと恥ずかしくて穴があったら埋まりたいけど、蓮見さんにとっては気まぐれでも……それでも私は嬉しかったのに」
ディープキスなんて、初めてじゃないのに。
あんなにドキドキして、苦しくて、なのに甘く痺れて……何にも考えられなくなるキスは初めてだった。
生田のキスとは、言っちゃ悪いけど比べ物にならない。
「そう言うこと、誰にでも言ってんのかお前は」
私をゆっくり、まるで割れ物みたいに地面へと降ろしながら、蓮見さんがちょっと不機嫌に呟くから、負けじと私も頬を膨らませて講義する。