私の好きな警察官(ひと)!
『ねーちゃん』と私に甘える隼人が可愛くて、オバケが出るからお姉ちゃんから離れちゃダメよ!なんて、小さい頃に脅かしすぎたせいか、高校2年生になった今でも多少のビビりが抜けない残念な弟ではあるけれど、


私にとったらいつまで経っても世界一可愛い弟なわけで。



『んー、まぁ俺にも色々あるんだわ』


「何よ、色々って……」



電話の向こう、私とのデートをキャンセルする理由を濁す隼人に『姉離れ』と言う言葉が脳裏を掠めては悲しい気持ちになる。


そうだよなぁ、隼人も思春期だもんなぁ。
いつまでも姉に構ってくれないよなぁ。


やだー。あの小さいお目目くりくりの頃に戻れ〜!!またオムツ取ってあげるし、お風呂入れてあげるから〜!!


なんて、やっぱり隼人とのデート中止を納得できずにいる私は、



『今度なんか埋め合わせすっから』


そんな隼人の言葉に途端、機嫌を直した。
な〜んだ、姉のこと邪険にしてた訳じゃないのね!と。


その日はたまたま本当にどうしても外せない用事が出来てしまっただけなのだろう。


それなら仕方ない。
今度しっかり埋め合わせしてくれるなら良しとするか。



「分かった、また都合いい日に電話ちょうだい」



あーあ、新作のバッグ見に行こうと思ってたのになぁ。隼人に荷物持ちさせようと思ってたのになぁ。こーなったら麗奈でも誘うか!


『りょーかい』とだけ言って切られた電話に溜息をこぼして、目の前で私の電話が終わるのを待っていたであろう蓮見さんを思い出してギョッとした。


しまった。


蓮見さんとデート中なんだった。
ブラコン丸出しの痛いヤツだと思われたかも〜!!
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