私の好きな警察官(ひと)!
「終わったか?」


「あ、はい。お待たせしました」


「……来週はどこの男とデートだったんだよ」



至って真面目に私へ質問を繰り出す蓮見さんに、至って真面目にキョトンとする私。



デート……?


あぁ、隼人との電話の中で私ってば無意識に『デート』って単語を出していたんだろうか。



「あぁ、6つ年が離れた」


「犯罪だろ、それ」



警察官の血が騒ぐとばかりに私の言葉を遮った蓮見さんに、思わず笑ってしまう。本当に職業病とは怖いものだ。



「確かに相手は17歳で、私が23歳だから……年齢的には犯罪ですかね。いや、それ以前の問題と言いますか」


「挙句、断られたわけだ」


「はい。悲しいことにキャンセルされちゃいました。すっごい楽しみにしてたのに」



多分、蓮見さんはまた勘違いしている。

蓮見さんの感じからすると、私のことを高校生の年下男子にデートをドタキャンされた可哀想な女だと思ってるんだろう。



「ったく、男見る目ねぇんじゃねーの。そんな男やめて、」


「やめて?」


「……もっと良い奴見つけるんだな」


「なーんだ、"そんな男やめて俺にしとけ"って言ってくれるのかと思ったのに。残念」



ニヤッと口角を上げて笑う私に、一瞬息を飲んだ蓮見さん。隼人相手に嫉妬してくれてるのかも!なんて舞い上がりそうになったけれど、やっぱり蓮見さんは警察官として犯罪を防止したいだけだったみたいだ。



「ったく、口だけは達者だな」


「すみませんね、キスは下手くそで」


ブゥと口を尖らせる私に、キスの最中に私に告げた言葉を思い出したらしい蓮見さんが苦虫を噛み潰したような顔をした。
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