私の好きな警察官(ひと)!
結局、あのキスを蓮見さんがどんな気持ちでしてくれたのかなんて分からないまま、
停電から復旧したフードコートで軽くご飯を済ませた私たちは、『帰るか』と言う蓮見さんの言葉を合図に駅のホームへと歩いている。
「蓮見さんは、どんな人がタイプなんです?」
蓮見さんとの間に流れる沈黙は心地よくて嫌いじゃないけれど、せっかくこんなにも一緒にいられる今を少しも無駄にはしたくなくて、隣を歩く蓮見さんを軽く見上げた。
「……んなの考えたこともねぇよ」
「ん〜、じゃあどんな人を可愛いって思います?」
「可愛いやつは、可愛いって思うだろうな」
蓮見さんは難しい。
だから、その『可愛い』に該当する女の子はどんな子ですか。そこが知りたいんですよ、私は。
プクッと膨れて「あー、そうですか」と棒読みで答えれば
「お前こそどーなんだよ」
今度は蓮見さんが、私へと質問して来る。
「何がですか?」
「一々言い寄られてその気になってたら、いつか痛い目みんぞ」
「……別に私言い寄られてませんし、その気にもなってません」
一瞬、生田の顔はチラついたけれど生田に対して私は何の感情もないわけで、本当に本当にただの同期だもん。
駅のホームにタイミング良くやってきた電車にどちらともなく乗り込んで、空いてる席に並んで座る。
「ふぅん」
「……蓮見さん、大事なこと忘れてませんか?」
わざとらしく不貞腐れて見せれば何がだよと言わんばかりに蓮見さんからの視線を感じる。