私の好きな警察官(ひと)!
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コピー機の音、シュレッダーの音、プリンターの音に、電話の音。キーボードを叩く音、書類の擦れる音、ボールペンで何かを書き込む音。
慌ただしいオフィスの中で、今日も私は働いている。
「赤羽!明日の打ち合わせ、14時から15時に変更になった。お前も連れていくからそのつもりで用意しておけ」
「…………」
「おい?赤羽!あーかーば!お前だよ!」
───バチンッ
「いでっ」
「お前なぁ、仕事中に目開けて寝てんじゃねえ!」
「寝てませんよ〜!ちょっとボーッとしてただけです。すみません、それで何でしたっけ?」
はぁぁあ、とかなり深い溜息を零して私を見る主任に、もう1度すみませんと声を漏らせば『体調悪いなら早退していいぞ?』と今度は心配されてしまった。
「いえ、体は元気です」
そう、体は……ね。
「ならいいが。とにかく、明日の打ち合わせは15時からになった!お前も連れてくからそのつもりで用意しておけって言ったんだ」
「なるほど、分かりました」
『しっかりしてくれよ』と私の肩をポンッと叩くと、主任は忙しそうに書類を抱えてオフィスを出ていく。
その後ろ姿を見送りながら自分の不甲斐なさに心底嫌気が差した私は、すぐに明日の打ち合わせの資料をまとめようとパソコンと向き合う。
今日は交番には行かなかった。
恐らく昨日 蓮見さんは非番だっただろうから、朝の8時頃までは交番にいたはず。会いに行ったら間違いなく会えると分かっていた。
だけど、どうしても……どうしても今日だけは自然と交番を避けるように進む足を止めることができなかった。