私の好きな警察官(ひと)!


***


って言うのが、私と蓮見さんの出逢い。

あれから毎日、出勤前と帰宅前に必ず交番を訪れるのが私の日課になった。


もちろん、目当ては蓮見さん。

下の名前が和弥だってことを知った日は、雲ひとつない快晴だったし。3つ年上の26歳だって知った日は、雨上がりの空に虹が出てたっけ。


ちなみに、交番に駆け込んだ2日後にロドリゲスの赤い長財布が見つかった旨の連絡を貰ったけれど、その電話の相手は蓮見さんではなくて、どうせなら蓮見さんの電話の声が聴きたかったのに……


なーんて、ロドリゲスが見つかった喜びを噛み締めることすら忘れていた。ごめん、ロドリゲス。



そして、あれからあっという間に7月だ。
ロドリゲス紛失事件からもう3ヶ月が経とうとしていると言うのに、蓮見さんの私に対する態度は相変わらず。いや、日に日に拍車をかけて悪態に変わっていく。


そういう所がまた、堪らなく好きなのは事実だけれど。なんて言うのかなぁ……そろそろ甘い言葉の1つや2つ、くれたっていい頃だと思うわけ。



それなのに、蓮見さんたら今日も華麗に『ストーカー』で片付けてしまうなんて……私は最高に魅力がない女なのかもしれない。


と、自分を見つめ直す他ない。



今日は会社で少しはレディとして意識的に行動してみようかな。そこまで考えて首を横に振る。


……いや、好きでもない男たち相手にレディを意識したってしょうがない。今日も仕事中は蓮見さんのことだけを考えよう。


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