私の好きな警察官(ひと)!
「蓮見さんって、」


「あ?」



ひょっとして、私のことをそれなりに大事に思ってくれてますか?そう、聞きたくて口を開いたけれど言葉に出来ずに飲み込んでしまった。



「いえ。何でもないです」


「言いたいことあんならちゃんと言えよ」



ポンと軽く私の頭に手を乗せて、強制するわけではないけれどどこか逆らえない蓮見さんの声に胸が高鳴っていく。


私はいつからドMになったんだ。



「……私の名前、知ってますか?」


「……は?」


「名字はともかくとして、下の名前 知ってますか?」



私の質問にキョトンとした顔で、驚いているのかそれとも考えているのか……よくわからない顔のまま固まった蓮見さんが、しばらくしてククッと笑い出すから


何がおかしいのだろうと蓮見さんの顔をのぞき込む。
こっちはいつだって本気なのに。


「バカにしてんのかよ」


「だ、だって、蓮見さん私のこと1度も名前で呼んでくれたことないじゃないですか」


プクーっと膨れっ面で拗ねてる感を全面に出せば、そんな私の頬を軽くつねった蓮見さんはまた笑う。



「俺に電話してみろ」


「……電話?」


「ほら、早く」



意味がわからない私をよそに蓮見さんは相変わらず余裕たっぷりで、やっぱり私じゃ蓮見さんから余裕を奪うことは出来ないんだなって改めて痛感させられた気がする。


言われるがままスマホの発信履歴から蓮見さんの名前をタップすれば、また聞き慣れた呼出音が鳴り始めて、同時に蓮見さんのスマホがシンプルな音で着信を知らせ始めた。

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