ニコニコ星人にご注意を
指輪
今日もあの車両には乗れないまま…。
ちっとも寝た気がしないのに、日中も
眠くならなかった。
あたしは、何を聞かされるんだろう。
聞きたいような、怖いような…。
あのニコニコ星人の顔が、浮かんでは消える。
夕方になるのがもどかしかった。
あいつとは無理って決めたくせに、
どこかで何か期待してるからだろうか…。
やっと待ち合わせ場所に向かい、待っていると
アオトが走ってやって来た。
ミチカ!
暑いね今日も!
相変わらずの笑顔がまぶしい…。
目の前に立ったアオトを見上げ、
で?何?と、聞くと。
え?ここで?と、吹き出した。
せめて、俺に水分をーと、眉間にシワよせて
言う顔に、笑ってしまう。
しょうがないなぁ。
言い終わる前に、さ、こっちこっち!
と、あたしの手を取って歩き出した。
手!!なんで?
固まる手と、足。
歩かないあたしを振り返り、
ずるい顔で
どうした?おんぶにする?と、笑う。
な、何を言ってんの!と、怒るあたしに、
大きな声で笑って、
するって言われたら泣いてたわー。
と、ふざける。
ほらほら。今日のお店は、俺の超オススメ
だから!いこ?
もう、呆れるばかりだけど…。
心のどこかに、少しの喜び。
そして、少しの…罪悪感。
ちょっとの間だけ。目をつぶらせて…。