ニコニコ星人にご注意を
次の日から、あたしの通勤電車は決まった。
別に…あいつに未練があるわけじゃ全然ない。
すっかり忘れてたくらいだもん。
ただ…もう少し見ていたかった。
もしかしたら、気づいて欲しいのかも。
興味…ある。うん。好奇心。
あいつは今何をしてるのか。
どんな子がそばにいるのか。
あ、なに、あたしったら。
ちがうちがう。
好奇心よ。うん!
誰に言い訳してるのか、慌てながらも
毎日見るあいつの顔を、朝1番の
楽しみにする毎日が始まっていた。
どこから乗ってくるんだろう。
いつもあたしより前に乗っている。
降りる駅は一緒。
まあ、ついたらサラッと降りていくから
追いつけたことはないけど。
いつも同じ車両に乗っているのがわかってから
あたしの乗る場所も、おのずと同じになり。
混雑のせいで、目が合うことはない距離だけど
あたしは、いつも自然に見つめられる場所を
見つけていた。
1つ、気になっていたこと。
結婚指輪…してたりする?
遠い距離から、必死で観察し続けて何日
経っただろう。
やっとわかった。
左手の薬指に指輪が…
なんであるの。
見つけた時の胸の痛みが、笑える。
おかしいよ。
傷つく必要がどこにあるっていうの…。