にせもの王子さま
「まだあんまり目立ってない読者モデルの子で、スカウトされた事にしてくれる子を探そう。知り合いのカメラマンに声かけてみるよ」

水上さんの提案に、パアッと一筋の光がさしたような気がした。

「ありがとうございますうぅ!」

読者モデルを使うなんて、ずるいような気もするけど・・・1週間で、した事のないスカウトなんか出来っこない。
今回は甘えちゃえっ♪

「・・・それはずるいわよ、水上」

突然、背後から社長の声が聞こえた。
と思ったら、社長が私と水上さんの間にズイッと体を滑り込ませてくる。

えっ!? さっき社長室に入っていかなかった!?

社長越しに水上さんを見ると、水上さんもビックリした顔をしている。

「本当に、水上は関口に甘いんだから! さっきも言ったように、関口1人でするのよ!」

そしてキッと私を睨むと、フン!と先程よりも一段と鼻息荒く、今度こそ社長室へ入っていった。
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