にせもの王子さま

それは、本当に小さな声だった。

「・・・僕、やってみてもいいかも」

そうだよね、いきなり芸能人になりませんかって言われても、困るよね・・・って、え!?
今、やってみてもいいって言った!?

「写真撮影って、カットモデルみたいな感じですよね? それなら、やれるかもしれない」

「珍しいね。 悠からやってみるって言うの」

誠さんが目を丸くして悠さんを見ている。

「うん・・・。なんか、関口さん切羽詰まってるみたいだったから」

悠さんが困ったように、へへっと笑った。

かっ・・・かわいい!
悠さんの笑顔を間近で見てしまい、そのかわいさに思わずクラクラした。
何この、とんでもない破壊力!
しかも、私の状況まで汲んでくれるなんて!
私、いい人見つけたのかもしれない・・・!

「そう。 悠が決めたなら、応援するよ。 お父さんとお母さんの説得手伝う」

誠さんが、ニコニコ笑って悠さんを見ている。
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