にせもの王子さま
あちこち探しては声をかける私にしびれを切らしたように、社長が私の首根っこを掴んだ。

「ちょっと、関口! まだ見つけられないの!?」

ヤバイ、ヤバイヤバイ!
首根っこを掴まれた状態で社長に上から見下ろされ、ドッと全身に冷や汗が出てくる。

何で見つからないの!?
焦ってジタバタする私を見下ろしながら、社長がハッとした顔をした。

「・・・アンタ! まさかスカウト成功したって言って時間稼いで、今日までに見つけられなかったって話じゃ・・・!?」

「違いますっ!」

社長が言い終わらないうちに、慌てて遮る。
悠さんは、ちゃんといる!・・・はず!

「電話! 電話してみます!」

首根っこを掴む社長の手を外してもらい、自分の鞄に手を突っ込む。
急いで携帯を取り出した。

そうだ、さっさと電話すればよかったんだ。

頭が回らない自分を恨みながら、電話帳から悠さんの番号を出し、発信する。
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