異世界で、なんちゃって王宮ナースになりました。
「ダニの駆除なんてできるんでしょうか」
ぽつりと不安をこぼしたマルクの気持ちもわかる。ダニなんて数えきれないほどいるし、駆除するにも手間がかかるのだ。でも、これ以上ペスト菌を広めないためにもやらなければならないことだ。
「シェイド様に連絡をして、清潔なシーツを届けてもらいましょう。今まで使っていた寝具や洋服は全て燃やします」
ダニはマットレスやベットシーツなどの湿気の多い場所や衣服や絨毯などの繊維の住処を住居にするはず。
もちろん私たちだけでは町の全てのダニを駆除するのは難しいので、町の人にも協力を仰ぐ必要がある。その際は手袋を着けるように指導しなければ。
「あとはネズミの撲滅も必要なんだけど、なにか方法はない?」
「それなら、ネズミを駆除する罠がありますよ」
そうダガロフさんが教えてくれる。
こちらもすべてのネズミを撲滅するのは難しいが、せめて数を減らしてネズミに注意する生活を皆にしてもらえれば感染を防げるだろう。
「ここからは感染拡大を防ぐ班と、患者の治療にあたる班に分かれましょう」
私の指揮に皆は異論を唱えることなく頷く。
こうして私と護衛のダガロフさん、シルヴィ治療師長とマルクは患者の治療にあたる治療班へ、施療院の治療師はネズミやダニの駆除をする環境整備班といったふうに二手に分かれて行動することになった。
施療院の治療師は環境整備のために必要な罠や衣類や寝具などの物品を揃えに、さっそくここを出て町へ向かう。
私は感染症がペストであることと物資の配給をお願いしたい胸を手紙に綴ってシェイド宛に送ってもらい、すぐに治療班として動き出した。
「まずは抗菌作用のある薬草を煎じて飲ませましょう。必要に応じて解熱剤や軟膏もひつようになるわね。それぞれ症状に合わせた治療――対症療法も合わせてしていきましょう」
治療班である私はシルヴィ治療師長とマルクとともに薬草を調剤の台の上に並べていく。そこにあるのは抗菌作用のあるローズマリーやラベンダーといったハーブだ。
「薬草にも限りがある。なるたけ失敗は避けたいな」
シルヴィ治療師長の言う通り、ここには予想以上の感染者の数がいる。無駄にできる薬草などひと欠片もなかった。
「あのう、あの盗賊たちはどうして感染しなかったんでしょうね」
ぽつりとマルクがこぼした言葉に、確かにと思う。ペストで死亡した人間の住居に侵入し、しかも五日間もこの町に滞在していたのに感染していないなんて運が良すぎる。
ううん、運なんて言葉では片づけられないほど稀だ。
ぽつりと不安をこぼしたマルクの気持ちもわかる。ダニなんて数えきれないほどいるし、駆除するにも手間がかかるのだ。でも、これ以上ペスト菌を広めないためにもやらなければならないことだ。
「シェイド様に連絡をして、清潔なシーツを届けてもらいましょう。今まで使っていた寝具や洋服は全て燃やします」
ダニはマットレスやベットシーツなどの湿気の多い場所や衣服や絨毯などの繊維の住処を住居にするはず。
もちろん私たちだけでは町の全てのダニを駆除するのは難しいので、町の人にも協力を仰ぐ必要がある。その際は手袋を着けるように指導しなければ。
「あとはネズミの撲滅も必要なんだけど、なにか方法はない?」
「それなら、ネズミを駆除する罠がありますよ」
そうダガロフさんが教えてくれる。
こちらもすべてのネズミを撲滅するのは難しいが、せめて数を減らしてネズミに注意する生活を皆にしてもらえれば感染を防げるだろう。
「ここからは感染拡大を防ぐ班と、患者の治療にあたる班に分かれましょう」
私の指揮に皆は異論を唱えることなく頷く。
こうして私と護衛のダガロフさん、シルヴィ治療師長とマルクは患者の治療にあたる治療班へ、施療院の治療師はネズミやダニの駆除をする環境整備班といったふうに二手に分かれて行動することになった。
施療院の治療師は環境整備のために必要な罠や衣類や寝具などの物品を揃えに、さっそくここを出て町へ向かう。
私は感染症がペストであることと物資の配給をお願いしたい胸を手紙に綴ってシェイド宛に送ってもらい、すぐに治療班として動き出した。
「まずは抗菌作用のある薬草を煎じて飲ませましょう。必要に応じて解熱剤や軟膏もひつようになるわね。それぞれ症状に合わせた治療――対症療法も合わせてしていきましょう」
治療班である私はシルヴィ治療師長とマルクとともに薬草を調剤の台の上に並べていく。そこにあるのは抗菌作用のあるローズマリーやラベンダーといったハーブだ。
「薬草にも限りがある。なるたけ失敗は避けたいな」
シルヴィ治療師長の言う通り、ここには予想以上の感染者の数がいる。無駄にできる薬草などひと欠片もなかった。
「あのう、あの盗賊たちはどうして感染しなかったんでしょうね」
ぽつりとマルクがこぼした言葉に、確かにと思う。ペストで死亡した人間の住居に侵入し、しかも五日間もこの町に滞在していたのに感染していないなんて運が良すぎる。
ううん、運なんて言葉では片づけられないほど稀だ。