幻獣サーカスの調教師
忠告
「いくよ!ラッド」
『ウォン!』
ショーに出すまでの間、ルルはラッドの側に四六時中いる許可を得た。
勿論、ラッドがショーに出られるようになったら、他の雑用も全て引き受けるという条件で。
今は何より、ラッドを優先しなければ。
他の幻獣達は、エルフが面倒を見ているそうだが、ラッドがルルに慣れたら、他の幻獣達と一緒に行動させるつもりだ。
ラッドは音楽を聞かせたり、丸太にじゃれつかせたりすると、とても大人しいのが分かった。
そして、ルルのことを遊び相手、または母親のように思っているのかは分からないが、かなり近くに寄っても唸らなくなった。
団長には、触れる位まで近付けるようになったら、首輪を着けろと渡されたが、ルルはどうしても首輪を着ける気にはなれなかった。
他の幻獣達は、あの首輪のせいかどこか虚ろなのだ。
話しかけても、まるで人形のようにこくっと首を縦に振るだけ。
ルルは、ラッドも同じようになってしまうかと思うと怖かった。
だが、例外はいる。ルルの代わりに雑用をしているエルフも、皆首輪を着けているが、まだまともに返事を返してくれる。
そして、檻の中にいるあの少年も、目に生気を感じた。
ルルが嫌ったエルフの少年は、他の幻獣よりも賢いが、他のエルフよりは知能が低いと良く分からないことを言われた。
だから、ショー以外では檻の中に入れられているのだ。
団長の命令には従順らしいが、ルルはあの少年がまだ苦手だった。
だが、ラッドの部屋へ行くには、どうしても幻獣の部屋へ入らなくてはいけないので、嫌でも毎日顔を会わせるが。
エルフの少年の方も、ルルを嫌っているのか、いつも背を向けている。
だが、無理に仲良くしなくても良いかと思い、ルルから話しかけるようなこともしなかった。
「ラッド、待って!」
檻から出ても暴れることがないお陰で、ラッドはショーをする会場で駆け回っている。
その姿は、まるでライオンとあまり変わらない。
他の練習が無い時は、自由に使わせてもらった。
「ラッド、止まって!」
ルルの声に、ラッドは止まってその場に座る。
「よしよし、お利口さん」
ルルが思っているよりも、ラッドはとても賢かった。
(私の言葉が分かってるみたいに、この子はとても素直に言うことを聞いてくれてる)
ならば、何故ラッドは、あんなに威嚇をしていたのか。
その答えは、深く考えずとも分かった。
(団長さんが、ラッドを鞭で叩いたり、嫌なことを刷り込んだんだ)
逆に、それ以外に理由など無いだろう。
『ウォン!』
ショーに出すまでの間、ルルはラッドの側に四六時中いる許可を得た。
勿論、ラッドがショーに出られるようになったら、他の雑用も全て引き受けるという条件で。
今は何より、ラッドを優先しなければ。
他の幻獣達は、エルフが面倒を見ているそうだが、ラッドがルルに慣れたら、他の幻獣達と一緒に行動させるつもりだ。
ラッドは音楽を聞かせたり、丸太にじゃれつかせたりすると、とても大人しいのが分かった。
そして、ルルのことを遊び相手、または母親のように思っているのかは分からないが、かなり近くに寄っても唸らなくなった。
団長には、触れる位まで近付けるようになったら、首輪を着けろと渡されたが、ルルはどうしても首輪を着ける気にはなれなかった。
他の幻獣達は、あの首輪のせいかどこか虚ろなのだ。
話しかけても、まるで人形のようにこくっと首を縦に振るだけ。
ルルは、ラッドも同じようになってしまうかと思うと怖かった。
だが、例外はいる。ルルの代わりに雑用をしているエルフも、皆首輪を着けているが、まだまともに返事を返してくれる。
そして、檻の中にいるあの少年も、目に生気を感じた。
ルルが嫌ったエルフの少年は、他の幻獣よりも賢いが、他のエルフよりは知能が低いと良く分からないことを言われた。
だから、ショー以外では檻の中に入れられているのだ。
団長の命令には従順らしいが、ルルはあの少年がまだ苦手だった。
だが、ラッドの部屋へ行くには、どうしても幻獣の部屋へ入らなくてはいけないので、嫌でも毎日顔を会わせるが。
エルフの少年の方も、ルルを嫌っているのか、いつも背を向けている。
だが、無理に仲良くしなくても良いかと思い、ルルから話しかけるようなこともしなかった。
「ラッド、待って!」
檻から出ても暴れることがないお陰で、ラッドはショーをする会場で駆け回っている。
その姿は、まるでライオンとあまり変わらない。
他の練習が無い時は、自由に使わせてもらった。
「ラッド、止まって!」
ルルの声に、ラッドは止まってその場に座る。
「よしよし、お利口さん」
ルルが思っているよりも、ラッドはとても賢かった。
(私の言葉が分かってるみたいに、この子はとても素直に言うことを聞いてくれてる)
ならば、何故ラッドは、あんなに威嚇をしていたのか。
その答えは、深く考えずとも分かった。
(団長さんが、ラッドを鞭で叩いたり、嫌なことを刷り込んだんだ)
逆に、それ以外に理由など無いだろう。