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翔太は眠る栞奈を見つめていた。
「栞奈、早く目覚めて。話そうよ」
「うっ……」
翔太は唸り声を上げる栞奈を見るのも辛かった。
栞奈の瞼から零れ落ちた涙を翔太が拭ってあげた。
「きっと、辛い悪夢を見てるんだね。早く目覚めてよ……」
もうこれで何回目だろうと思うくらいまた涙が流れた。
「何でだよ、栞奈。辛いなら、目を覚ましてよ……!」
声を上げながら泣き喚く翔太。翔太も声も栞奈に届くことはないだろう。
「栞奈が“好き”って気付いちゃったのに……」
翔太は左手で自分の胸元を握り締める。まだ涙は枯れてくれない。
「栞奈……君と話したいよ……」
翔太は左手で栞奈の右頬に触れた。
「うっ……ああ……!」
唸り上げる栞奈を見て、また翔太は驚いた。
「何で……目覚めてくれないの……?」
翔太は涙を拭って立ち上がる。扉まで向かって、栞奈の方に振り向いた。
「じゃあな、栞奈……」
栞奈の病室から出ると、必死に止めていた涙がまた零れた。
「栞奈……」
涙をまた拭って、翔太は自分の家へ帰って行った。