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翔太は自分の部屋のベッドで、寝転がっていた。そして、眠気が襲ってきた。
「うっ、ぐすっ……」
「栞奈!?」
暗闇の中には、泣きながら座り込んでいる栞奈がいた。
「これって……夢?」
翔太は栞奈の方に近付こうとすると、見えない壁があって近付くことができない。
「栞奈!」
「死にたい……死にたい……死にたいよ……」
夢の中に現れた栞奈はいつになく辛そうで、彼女の心の中に居るようだった。
「会いたい……あの人に……」
栞奈が発した言葉に首を傾げる翔太。“あの人”とは、いったい誰のことだろうか。
「先生……篠原先生……」
「篠原先生……?」
全く知らない先生の名前が出て固まってしまう翔太。彼は当然知らないだろう。
「何で、離任したの……?行かないでほしかったよ……」
「離任って……?」
「ああ……死にたい……」
栞奈が会いたいと求める“篠原先生”とはいったいどんな人だろうと、翔太は考え込む。
「その人に会えるなら、栞奈は目覚めてくれるかもしれない。だけど、誰……?」
今年、この学校に来た翔太には去年居た先生のことなんて知ることもない。だけど、その人が栞奈を目覚めるのに必要なのならば、頑張って探すしかないだろう。
「貴方の社会の授業を受けたいよ……」
「なるほど、社会の先生か……」
そう思った瞬間、見えない壁の向こう側で栞奈がどんどん薄くなっていく。翔太は手を伸ばして「栞奈!」と呼んでも、消えていくばかりだった。
「はぁ……はぁ……はぁ……栞奈……」
翔太は目覚めると、息切れをしていた。
「篠原先生か……」
翔太はとりあえず、自分の部屋から出て支度を始めた。