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その頃、栞奈の病室には清香が居た。清香は栞奈の眠っている姿を見て涙を溢した。
「早く起きてよ、栞奈ちゃん……」
彼女の体をどれだけ揺らしてみても、栞奈は目覚めてくれない。
「私も栞奈ちゃんと一緒に居た時はすごく幸せだったよ。他の友達とはバラバラになっちゃったから、もう栞奈ちゃんしか親友は居ないの……」
清香にも小学校の時から仲が良い友達もいたが、みんなが違うクラスになってバラバラなったので、清香には小学校も違う栞奈しか仲のいい人はいない。
「ねぇ、起きて……」
お互いに言い合い、常に仲が良かった二人。栞奈が死にたいと思っていたなんて清香には知る由もなかったのだ。
「そろそろ帰ろうかな……」
清香は立ち上がり、帰ろうとしたその時だった。
「栞奈……!」
目の前にあの篠原先生が現れたということで、清香は驚いて座り込んでしまった。裕也も清香を見て驚いた。
「あれ?工藤さん?」
「篠原先生……」
清香にとって裕也がかなり目立ったのか、後ろの翔太は目すら合わない。
裕也は栞奈の腕を撫でる。栞奈に反応は見られない。
「こうやって撫でてあげるといいみたいだよ」
裕也は二人に笑った。翔太からすると、触られてる栞奈が幸せそうに見えたそうだった。
裕也が来てもまだ、栞奈が目覚めることはなかった。