リストカット
談話室にて、話をすることになった四人。
「私の親友を苦しめたコイツらが許せない!」
「工藤さん……!」
狂った清香を止めようとする晃平。それでも清香は美那と陽太に復讐しようとしている。
「清香さん、やめて。栞奈はそんなの望んでない」
「うるさい、うるさい!」
翔太もどうにか清香を止めようとするが、清香はなかなか止まってくれない。
「やっぱり山本先生は栞奈ちゃんが大好きなんでしょ?!」
「えっ……」
翔太は清香に言われ、杭を打たれた。
「いつも栞奈ちゃんだけには優しくて、その他の人には厳しい……分りやすいんだよ!!」
「俺は彼女を支えたいだけ……」
「そんな偽善で片付けても意味ないよ!栞奈ちゃんの好きな人を知った時、ぐずぐず泣いてたじゃん!」
「いや、俺は……」
「栞奈ちゃんは先生にとって、奥さんよりも大切な存在になってたんでしょ?!」
完全に杭を打たれた翔太は黙ってしまった。
「マジかよ……」
唖然とする陽太と美那と晃平。翔太はフラついて座り込んでしまった。
「でも!栞奈が目覚めないのは……みんながみんな、反省出来てねぇからだと思う……」
「はぁ?」
清香はかなり調子が狂ってしまったのか、先生である翔太を完全に舐めてしまっている。
「裕也を病室に来させても意味がなかった……。じゃあ、何が悪いんだよ!!」
「裕也って、篠原先生のこと?いつの間に仲良くなってたみたいだね」
「清香……辛いのはものすごく分かるが、止めてくれ。みんなもみんな、辛いんだよ……」
「違う!廊下に居ると聞こえるんだよ!『松山が消えて良かった』って、みんなが喜んでた!」
翔太はわけが分からず、首を傾げていた。こんなことになったら反省すると思うのに……。
「それに倉上も反省してない一人じゃん!」
「……俺は……」
清香の恐ろしい狂い様を見て、反省した陽太。陽太の性格が考えられないほど、肩が震えていた。
「本当に申し訳ないと思ってます……」
「嘘つき!」
「本当に……本当だよ!」
陽太は口も震わせていた。清香の報復が恐ろしいのだろうか。
「松山、ごめんなさい!早く目覚めて!」
陽太が叫んで謝っても空しく青い空に消えて無くなる。どんなに言ったとしても、栞奈には届かない。
栞奈が嫌いな人たちが反省してくれるまで、だろうか……。