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次の日。誰も居なそうな図書室前の廊下で清香と陽太は話し合っていた。
「この男の子たちについての情報を集めて欲しいの。無理矢理男子に関わろうとすると怪しまれるでしょ?」
「そうだな。その前に卓球部の奴らはどうする?」
「ラケットを外に投げ捨ててほしい。そして私がラケットを踏みつけるの。いいでしょ?」
「あっ、ああ……」
陽太は清香の恐ろしい考えに戸惑うばかりだった。清香は先ほどからずっと笑っているので、それがより一層恐ろしさを増す。
「最初は陽菜ちゃんから追い込むの。その次は美帆ちゃんって言う子で、最後は彩未ちゃんだよ」
「さっき言った作戦は陽菜というヤツにすればいいのか?」
「うん!」
「分かった。昼休みに仕掛けよう」
「ありがとう!」
その後二人は他愛ない話をして、教室に戻った。その様子を怪しそうに翔太が見ていた。
「アイツら、仲良くなってたのか……?」
二人に疑問を覚えながらも、翔太は教室へと向かった。嫌な予感がしたのは気のせいだろうか。