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次の日の朝。二人はあの場所へ来ていた。図書室の前の廊下だ。
「次は美帆って言うヤツだろ?」
「そうよ。どうしようかしら……」
清香が悩んでいると、陽太が閃いた顔をして声を上げた。そんなに陽太に清香は若干引いている。
「情報では、かなりアイツを邪魔臭そうにしていたらしい。だから、殺すか?」
「えっ……」
「硫酸でドロドロに溶かしてやろうよ」
そんな陽太の提案に清香はニヤリと笑った。
「いいですわね……」
「お前、やっぱ狂ったな」
「うふふ、栞奈ちゃんを殺したヤツは絶対に許さないからね」
そんな恐ろしい清香に陽太は一歩後退りした。
「理科準備室から取ればいいだろ?何回も侵入してるから任しとけって」
「分かった、ありがとう」
清香にニコッと純粋な笑顔を陽太に向けた。
『この木硬いね。木だからかなぁ。ね、倉上』
清香の笑顔が栞奈の微笑みに似ていると陽太は思ったようだ。