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今の学校は美帆のことで騒ぎになっていた。美帆が行方不明者と言われ、捜査は難航している。
「いい感じだな、清香」
「うん。その調子で殺って行こう!」
陽太と清香はあの図書室前の廊下で話し合っていた。次の作戦に移るところだった。
「あの……」
そこに立っていたのは、彩未だった。二人は驚いて目を見開いた。
「まさか、邪魔する気?」
清香がそう聞くと、彩未は首を横に振った。
「違う。協力したいの」
「えっ?」
「陽菜を殺して……」
彩未の言葉に戸惑う二人。次に復讐しようとしたヤツが目の前で頼んでくるだから、二人も驚かないはずがない。
「どうして?」
「陽菜が気持ち悪いんだ。いつも私にまとわりついて嫌なんだよ。アイツのせいで、卓球もやる気がしなくなった」
清香は陽太からそんな噂を聞いたことがあるが、彩未から殺しを頼まれるとは思っていなかった。
「どんな方法で痛みつけてやりたい?」
陽太が彩未に聞いた。清香たちが勝手やるより、自分で考えさせた方が良いからだ。
「罪を償わせる。だから、どうしよう……」
「自殺で片付けちゃえばいいんだ。だから、追い詰めてやるのが良いんだ」
陽太はそう言った。彩未はどうしていいか戸惑う。
「いいんじゃない?もともと、最後に追い詰めようと思ったし」
清香の言葉に彩未も苦笑いをした。その光景は陽太にとって恐ろしいものにも思えた。
今日、陽菜の決死行が行われることが決まった。
三人で仲良く歩いている様子を翔太は不審に見ていた。
「アイツらは何をしているんだ……?」
美帆の行方は未だに謎で、存在どこかもわからない。翔太は頭を抱え込むばかりだ。