リストカット
馬鹿な男子共へ
「ここ最近、自殺率多くね?」
「松山のリストカットのせいで大騒ぎだよな」
「あんなブスのどこがいいんだか……」
人の気持ちを考えない最低な男子共の言葉が廊下で聞こえる。栞奈の気持ちを考えないで何を言っているんだろう、と清香は思った。
次の相手はもうすでに決まっていた。次の相手は……この学年の男子全員だ。もちろん、清香に協力している陽太は例外だ。
今日も“仲良く”三人が話し合いをしていた。次の作戦についてだ。
「次はどうする?」
「主犯の須崎は殺そうと思う」
清香がそう言うと、陽太は面食らった表情で「マジか……」と呟く。
「アイツは主犯じゃない。そう言う噂を流し出した奴だと思う」
彩未が言うと、清香は頷く。須崎と同じクラスになったことは一度も無いはず。それが主犯だとおかしいことだ。
「そういうことは……去年、同じクラスだった男子が主犯ってこと?」
清香が聞くと、陽太は頷く。
「そうだ。元一年四組だった男子が全員主犯だ。そうじゃないと噂は広がらない」
「なるほど……」
陽太の考えに二人は頷いた。それでも、主犯は美那に変わり無いと思うが……。
「まぁ、結果的には赤月が全部流したんだけどな」
「そうなるよねぇ……」
どちらにしろ、美那には最悪な罰を下す予定らしい。だから美那は後回しにするそうだ。
「じゃあみんな、罪を償ってもらおうじゃないか!」
清香は冷酷な笑みを浮かべ、そう言った。栞奈のせいで狂ってしまったらしい。
「元一年四組には恐ろしい罰を……」
クスクスと笑う清香に彩未と陽太は後退りをする。
「悪い噂を流せば、栞奈ちゃんのように苦しむはずよ。倉上、情報収集お願いね」
「オッケー」
「彩未ちゃんはね……一緒に噂を広めてほしいの。彩未ちゃんもけっこう友達がいるからすぐに広がるはずだよ」
「分かった」
「みんな決定ね。よしっ、頑張るぞ!」
「おー!」
これからも決死行は続くようだ。