幻惑な夜
「そこら辺でいいよ、止めてくれ」
ワンメーターをけちったのか、いい加減俺の運転が嫌になったのか、NBAの声が聞こえる。
「あ、でもお客さん、この先の突き当たり右に曲がれば、さっきの道まですぐですから」
「いいよここで。ここから家まで5分とかからないから、もったいない」
もったいない? 何が?
やっぱりワンメーターが? そう思ったとき、ダッシュボードに付いてるメーターが一回りする。
毎度。
俺は口に出さずにそう言ってから、耳をすます。
後ろのNBAの舌打ちを聞き逃さないためだ。
…静寂。
何も聞こえない。
俺はずれているルームミラーを、後ろのNBAの顔が写るように動かす。
あからさまに、左手でカクカクとだ。
NBAの顔がルームミラーに写っている。
NBAはミラー越しに俺を見ている。
その顔は平静を装っているが、きっと口の中では舌打ちを爆発させているに違いない。
ワンメーターをけちったのか、いい加減俺の運転が嫌になったのか、NBAの声が聞こえる。
「あ、でもお客さん、この先の突き当たり右に曲がれば、さっきの道まですぐですから」
「いいよここで。ここから家まで5分とかからないから、もったいない」
もったいない? 何が?
やっぱりワンメーターが? そう思ったとき、ダッシュボードに付いてるメーターが一回りする。
毎度。
俺は口に出さずにそう言ってから、耳をすます。
後ろのNBAの舌打ちを聞き逃さないためだ。
…静寂。
何も聞こえない。
俺はずれているルームミラーを、後ろのNBAの顔が写るように動かす。
あからさまに、左手でカクカクとだ。
NBAの顔がルームミラーに写っている。
NBAはミラー越しに俺を見ている。
その顔は平静を装っているが、きっと口の中では舌打ちを爆発させているに違いない。