幻惑な夜
④
「いやらしい…」
そう言った恭子の笑みで俺は目が覚めた。
00:41
ダッシュボードの緑のデジタルが闇に浮かんでいる。
NBAを降ろしてから、30分近くも俺はこうして眠っていた事になる。
タクシーの中でシートを倒し、制帽を目深に被って横になっているだけのつもりだったが、まったりと眠ってしまったらしい。
…いったい何なんだ。
夢などめったに見ない俺が…、
しかもあんな昔話しの夢を見るなんて。
背中にねっとりと、変な汗をかいているのに気付く。
嫌な感じだ…。
今まで見た事もなかったあんな昔の夢を見たのは、やっぱり、俺が今いるこの場所と関係しているのかもしれない。
俺のタクシーは、石神井川に掛かる橋の上に駐車している。
橋と言っても、やっとこさ二車線くらいの幅で、長さも車が三台くらいしかない小さな橋だ。
橋の上には俺のタクシー以外は停まっていない。
静かだ。
駅から少し離れたこの場所は、このくらいの時間になると人の姿は疎らだ。
…変わらない。
昔も今も、それは変わっていないようだ。
そう言った恭子の笑みで俺は目が覚めた。
00:41
ダッシュボードの緑のデジタルが闇に浮かんでいる。
NBAを降ろしてから、30分近くも俺はこうして眠っていた事になる。
タクシーの中でシートを倒し、制帽を目深に被って横になっているだけのつもりだったが、まったりと眠ってしまったらしい。
…いったい何なんだ。
夢などめったに見ない俺が…、
しかもあんな昔話しの夢を見るなんて。
背中にねっとりと、変な汗をかいているのに気付く。
嫌な感じだ…。
今まで見た事もなかったあんな昔の夢を見たのは、やっぱり、俺が今いるこの場所と関係しているのかもしれない。
俺のタクシーは、石神井川に掛かる橋の上に駐車している。
橋と言っても、やっとこさ二車線くらいの幅で、長さも車が三台くらいしかない小さな橋だ。
橋の上には俺のタクシー以外は停まっていない。
静かだ。
駅から少し離れたこの場所は、このくらいの時間になると人の姿は疎らだ。
…変わらない。
昔も今も、それは変わっていないようだ。