幻惑な夜
「大変お忙しいところ申し訳ございません。実はですね、、御主人の奥さんが…ええ、恭子さんがですね…」

御主人? 奥さん? 誰が?
御主人って、俺がか…。俺は思わずニヤけそうになる。

「…わたくしどものスーパーにおかれてですね。食料品及び雑貨を数点、あ、金額的にはたいした事はないんですが、言いにくいのですが…盗まれまして…ええ、万引きですね。こちらの事務所の方で保護しておりまして、確認のため御主人さまに連絡した次第でございますが…」

万引き? 保護? 恭子が?
その言葉を俺は頭の中でグルっと一回転させてみる。

カミサカとか言う男は詐欺師か何かなのかもしれない。

新種の詐欺?

いや、訳の分からない事を言いながら、実は保険だとかマンションだとかのセールスなんじゃないのか?

カミサカと言う男の声に心当たりはないが、スーパーアザミと言うのは存在した。

駅前の、ここら辺じゃ一番でかいスーパーだ。




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