幻惑な夜
女が男のあっかんべぇに爆笑している。

俺は女の顔が、誰か芸能人に似ているのに気付く。

誰だっけ?…。

俺はジーっと、女の顔を覗き続けるが思い出せない。

俺はイラつく。

女が笑いながら、時折視界から消えたりするので、じっくりリサーチ出来ないからだ。

あっかんべぇをしていた金髪男が、あっかんべぇを止めた。

すかさず男は中指を立てて、「ファック!」と呟く。

実際は声が聞こえなかったが、口の動きは明らかに「ファック!」そのものだった。

笑っている女が、今度はあっかんべぇをしてこっちを見た。

ファックとあっかんべぇ。

男が笑いながら女の頭を軽く叩く。

女は「あっ!」と小さく声を漏らすと、しゃがみ込んで俺の視界から消えた。

…思い出した。

俺はその女が森尾由美に似ているのを思い出したのだ。

…微妙。

そう思うと、俺はニヤリと口元を緩ました。


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