【短編】『枯れ葉が舞って』
降り続く雨の影響で、地盤が崩れたことが原因だったそうだ。


原因なんかどうだっていい。



それからは世界が変わった。 


「秋、秋…」



しばらくは自分の部屋からさえ出ることはなかった。


秋の葬儀も終わり、久しぶりにあの森に入ってみた。



一人で歩く森がこんなに退屈で、残酷で味気ないものだと、どうして知ることができただろうか。




何を見てもなんの感動もない、生まれるのは秋を救えなかった罪悪感と後悔だけ。






なんで秋は「秋」を……




まるで秋に裏切られたような気がした。 



「秋」ほど秋に馴染み、共に過ごしたものなんていない…俺も「秋」も秋が大好きだったのに…。 




その時から俺は秋が嫌いになった。
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