手をつなごう
2月1日………今日から、彩ちゃんがご近所さんになる。

「「「「乾杯!!」」」

「よろしくお願いします。」

「洋ちゃん、次は結婚のお祝いにしてよ!」

「あらぁ!結婚するなら、洋ちゃんよりも悠ちゃんよ~
ねぇ~、彩ちゃん。」

「彩ちゃんはどっちがいい?」

「まぁ~、まだ始まったばかりだから………
これからの楽しみにしないと~。勿体ないわ!
新しい新人ちゃんも来るみたいだから………
あっちこっちで、恋の花が咲いちゃうわよ~!!」

アハハハ…………

魔女のような笑い声を出して、商店街のオバ様達が

オレ達3人を肴に飲んでいる。




あの日から、意気投合したオレと悠人は………すっかり飲み仲間になった。

元々シャイな悠は、仕事と家の往復ばかりだったらしい。

ご飯も作れないらしくて、コンビニがキッチンになっていると言っていた。

それを聞いたうちのオバサンが、強引に連れて来て

「洋介、悠ちゃんとお友達になってあげて!
はい、一緒に飲みに行く~!!」って、訳の分からない会話で

家を追い出された。

「すいません。」

謝る悠が可愛いくて、そのまま近くの居酒屋で飲んだのが最初。

見かけと違って、かなり飲んべえな悠は………

「洋介さん、弱~。」って笑いながら、酔いつぶれたオレを運んで帰ってくれた。

あれから、気づくとオレと悠と彩ちゃんがセットにされて

商店街のイベント……と言っても……打ち上げの飲み会だけど………。

そういうのに、引っ張り出されるようになった。

「彩ちゃんは……一旦、今日でこの飲み会はおしまいだな。」

オレの言葉に、悠も頷く。

「どうして?」

「彩ちゃんがいないとつまんない!」

「3人揃うから面白いのに~」と、口々に勝手な事を言うオバサマ。

「来月の半ばからは、幼稚園の先生だよ。
先生としてのイメージもあるから、ダメなの。
オレも悠も、親御さんから預かった手前………オレ達が羽目を外させる訳には
いかないんだよ。
親元を離れて、女の子が一人暮らしをするんだから
みんなで守っていかないと。
何かあってからじゃあ遅いからね。」

オレの言葉にしぶしぶ納得??したみたいで

「まぁ、彩ちゃん一人じゃなかったら問題無いだろうから……
新しい娘達も、仲間にいれちゃいましょう。」

「そうそう、そうしましょう。」

「商店街には、洋ちゃん悠ちゃん以外にも年頃の男の子がいるから
沢山の先生達と、お付き合いして盛り上げてもらわないと。」

何やら物騒な相談を始めたから、オレ達3人は知らない振りをした。
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