ネバーランドへようこそ!
下手したら誘拐
さて、皆さんは夜中にガタガタ音がしたら、まず最初に何を思うでしょうか?

私だったら―。

「……何してるの?泥棒」

「えー?夢の国の住人に対して泥棒は酷くない?」

緑の服と帽子の、変な男の子が、私の目の前でふわふわ浮いている。

「君、可愛いよね!よし、ネバーランドに一緒に行こうか!」

「たが断る」

「何で?勉強もしなくていいし、遊んでいられるし、何よりずっと子供でいられるんだよ?最高じゃん」

何が最高よ。私は早く大人になりたいのに。

それに、今何時だと思ってんのよ?真夜中よ?

夜更かしは美容の大敵なのに。

「あのね。勉強って何のためにやると思ってるのよ。文字が読めないと将来苦労するのよ」

「だから、ネバーランドに来ちゃえば大人にならないで住むから、皆ハッピーじゃないか」

まったく。何なのよこの子。

「あ、僕はピーターね」

「聞いてないわよ」

ていうか、それ以前に人んちに勝手に入ってくるなんて犯罪よ。

「取り敢えず、親御さんに連絡するから、電話番号教えなさい」

「親いないし。てか、君の意見なんて関係ないもん。……ね?ティンク」

男の子が、肩に声をかけると、突然妖精が飛び出してきた。

そして、まるで豆まきの如く?いえ、力士?みたいに粉を投げ付けてきた。

「ちょっ、ごほっ」

粉で回りが見えなくなると、今度は体が浮き上がる。

「じゃ、ネバーランドへゴー!」

「ちょ、弟達の面倒も見なきゃいけないのよ?!」

「あ、大丈夫。呑気に寝てる君の弟達にも粉ふりかけたから、ちゃんと連れてくよ」

もはや誘拐よー!!
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