生徒会長は女の子が苦手です
「ねぇ」


「なに?」


「七瀬がこの前言おうとしたこと、ここで聞いてもいい?」


伊織は微笑んで、私を見つめる。


私はその伊織の笑みにつられて笑う。



「どうして、笑ってるの?」


「ん?成功の確信があるから?」



そう言って伊織は私を抱きしめる。


伊織の香りが鼻をくすぐる。


小さい頃からずっと、安心できる好きな匂い。



「七瀬。俺、七瀬のことが好き。


俺と、付き合ってくれませんか」


「よろしく、お願いします」



そういうと、伊織は私を抱きしめたままフェンスにもたれて、座り込む。


私はそのまま伊織の上に着地した。


「伊織?」


「やっば、めっちゃ緊張した…」


「成功するって確信してたくせに?」


「それとこれは別でしょ」



伊織は顔を赤くして、その顔を隠すように私に巻き付いていた両手を自分の顔に移す。



「あ、そうだ」



伊織は私に向かって思い出したように言う。



「七瀬に謝らなきゃなことがあった」


「へ?」


「男子校から共学に来たの、七瀬が祐樹と付き合いだしたって聞いて、いてもたっても居られなくなったから来た。


女の子が苦手なのを克服する気なんて微塵もないし、七瀬の近くにいて、七瀬を独占したかっただけだから」


「は?え、嘘でしょ?私があんなに頑張って伊織の前を歩いてたのに?」


爆弾発言だ。


本当に。


この人はなにを考えてるんだ。
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