生徒会長は女の子が苦手です
沙耶さんはしみじみそう言うと、嬉しそうに微笑んだ。


「君は、七瀬ちゃんの彼氏かな?」


「はい、まぁ。伊織です」


「伊織くんか。かっこいいね、うん。


七瀬ちゃんが惚れるだけのことはある」



そう言うと、いたずらっぽく笑ってお腹をさする。



「そうですかね」


「そうよ。七瀬ちゃんが誰かを好き、なんて聞いたことないもの。


七瀬ちゃんが小さい頃から私は七瀬ちゃんのことを知ってるけど、一度も男の子のことを好きとかカッコいい、なんて行ったことなかったもの。


伊織くんが初めてじゃないかな」



一度裕樹にも聞いたことあるけど、七瀬は本当に言ったことなかったのか。誰にも。


「そうなんですね」


「そう。あの子、私と違ってしっかりしてるから、モテる層がガツガツしてる男の子だけじゃないからね。

なんども告白されたことあるはずなのに。


『私のこと何も知らないくせに好きだなんて言われたって信じられないもん』って言っちゃって。


私なんか、見る目ないからいろんな人と付き合っちゃって。もったいない人生送っちゃったなって思ってる」


沙耶さんは俺に向かってにっこり笑った。



「沙耶!持ってきた!ほらっ!」
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