生徒会長は女の子が苦手です
「黒瀬くんは、なんの教科が得意なの?」


「僕は社会が得意です。特に日本史が」


「へぇ〜、私日本史苦手なの。テスト前は頼ろうかな」



七瀬はニコニコと会話を楽しんでいる。


可愛い。


あれが俺に向けられたら、って。


思っちゃうんだよねぇ…。


このままじゃ七瀬と同じ高校に入った意味がないじゃん…。


好きなのに、近くにいたいと思ったのに。


結局遠くから見てるだけで。


男と仲良くしてる七瀬を盗み見て、落ち込んでるだけ。


言ってしまうと寂しい。辛い。



好きな人が、他の男と…。



「七瀬さんは僕なんていなくても頭いいじゃないですか」



黒瀬が微笑む。



「え〜、そんなことないよ?私は黒瀬くんと違って、部活してないからね」


「七瀬さんの方が毎日忙しそうじゃないですか。


生徒会の業務とか、先生の雑用とか、1年生の名前も覚えてるみたいですし。


会長の面倒見も大変でしょう?」



「そんなことないよ〜。


みんな優しいし、声かけてくれるし、会長もいい子だからそんな迷惑してないよ。


会長、ああ見えて可愛いから」



ふふっと七瀬は笑う。


可愛いって何…。


俺可愛いことしてないよね?
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