生徒会長は女の子が苦手です
「伊織、起きてー、学校行くよ」


「いーちゃんっ!もふちゃんだよ!」


そう言って理沙ちゃんはもふを伊織の上に乗っける。


「もさお…重い…」


「いーちゃん、起きてっ!おじいちゃん先生のとこ行こう!」


この1週間で理沙ちゃんは理事長を気に入ったのか、ニッコニコで学校に向かっているのだ。


伊織のカバンに目を移すとペラッペラ。


中を見てもすっからかん。



「伊織ー、時間割はー?教科書どうしたの?」


「学校に全部ある…」


「今日体育の授業あったでしょ」


のそのそともふを抱えたまま起き上がり、手を伸ばす理沙ちゃんにもふを渡す。


伊織はクローゼットを開けて、体操服を私に渡して、カバンを指差す。


入れとけと。


伊織は朝機嫌悪いと言うか、寝起き悪いから着替える以外のことをしてくれない。


結局全部私がするのだ。


体操服とカバンを持ち理沙ちゃんの手を取って部屋を出る。


「なーちゃん、今日はなんの授業あるの?」


「今日はね、体育があるの」


「理沙もおじいちゃんと見に行く!」


「おじいちゃんがいいよって言ってくれたらおいで」


そんな会話をしながら伊織のカバンに体操服とタオルを入れる。


「行こー」


「はーい、ちょっと待って!」


着替え終わった伊織はネクタイを締めつつ、玄関へスタスタ歩いて行く。
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